はじめに
故安部元総理の国葬が終わるもつかの間、今週より臨時国会が始まりました。
物価高を受けた経済対策や国葬の検証、旧統一教会と政治家の関わりなどをめぐり、論戦が交わされます。
会期は12月10日までの69日間です。
『政治』がワイドショーで取り上げられる日々はまだまだ続きそうです。
そこで今回は、『ひるおび』『モーニングショー』などワイドショーの政治コーナーには、今や欠かせない存在ともいえる、政治ジャーナリストの田﨑史郎さんについて取り上げます。
田﨑さんの自民党ベッタリとも思えるスタンスに、嫌悪感を持つ方も少なくないと思います。
しかし、見方を少し変えると、田﨑さんの解説はエンターテイメントとして楽しめると考え、今回記事にしてみました。
他の政治ジャーナリストととの根本的な違いについても触れていきます。
よかったら一緒にみていきましょう!
田﨑史郎さんのプロフィール
生年月日 1950年6月22日(72歳)
出身地 福井県坂井郡三国町
学歴 中央大学法学部卒業
自民党御用達ジャーナリスト?
田﨑さんは中央大学卒業後、時事通信社に入社、1982年位から政治部で田中派の番記者となります。
以来、自民党担当の政治記者として活動します。
現在は時事通信社を退職し、フリーの政治ジャーナリストとして取材活動やメディアへの出演を継続しています。
テレビには1990年代の後半くらいから見かけるようになり、年々出演回数が増えているように感じます。
自民党寄り、自民党の御用達ジャーナリストなどといわれることが多く、故安部元総理と寿司屋などでたびたび会食をしていたことから、皮肉を込めて『スシロー』といわれたりもしているようです。
確かに自民党、政権サイドを擁護しているように思えることもあります。
特に政権にとって打撃となるような事案が起きたときに、政権側を庇ったり、忖度しているかのような発言をこれまで繰り返しています。
そのことが見ている方にとって、「何で庇うの?、そこ庇いますか?」みたいな感じで非常に不愉快に思えることも多いのかもしれません。
しかし田﨑さんが他の政治系のジャーナリストの方たちとは、路線が全く違うことを理解していれば、そう腹をたてることもないのかと思います。
他の政治ジャーナリストとの違い
田﨑さんは他の政治ジャーナリストとは違う、独自の路線による自身の立ち位置を確立しています。
一つ一つ見ていきたいと思います。
取材力の高さ
田﨑史郎さんの政治ジャーナリストとしての強み、特徴は『取材力の高さ』にあります。
特に自民党の有力議員に対する食い込みようは誰もかなわないのではないでしょうか。
田﨑さん以外にも、『政治ジャーナリスト』『政治評論家』『政治アナリスト』といわれる方たちが、テレビによく出ていますが、彼らの発信・発言は取材に基づいているのかというと、正直そうではないことが多いように思えます。
もちろん、取材活動も行っているのはわかりますが、自分の意見や、あるべき論、単なる予想を話していることが多いように思えます。
その点田﨑さんは、取材で得た情報をそのまま話すことが多く、自分の意見を述べるにしても取材で得た情報・事実をもとに語っています。
事実に基づいた発言(例)
『このところ岸田内閣の支持率が下がっている』事について、
ある政治ジャーナリストAさんは、
『このままでは自民党の中で反岸田の動きが広がるだろう』
と述べたとします。
そのあとに、田﨑さんは、
『自民党の中をいろいろ取材してみたが、岸田さんの足を引っ張ろうという動きは全くみられない』
と話したとします(実際に10月3日のBSTBS報道1930でそう話しています)。
ジャーナリストAさんは、岸田内閣の支持率が下がっていることに対して、今後起きるであろう推測をしているにすぎません。
もっというと、起きてほしいという個人的な『願望』を話しているのです。
それに対し、田崎さんは、取材をもとに岸田さんの足を引っ張る動きが出ていない、という事実を話しています。
では何故これだけ支持率が下がっているのに、足を引っ張る動きが出ないのか、との問いに対しては
『次にやる人が見えてこないから』と答えています。
なるほど、そういう事なのかという感じですね。
更にこの話題に関して付け加えるとすると、
『今は』次にやる人が見えていないので、岸田総理の足を引っ張る動きは出ていない。
ということであって、
次にやる人が見えてくれば、岸田総理の足を引っ張る動きが出てくる。
という推測が成り立ちます。
それが河野太郎さんなのか、茂木敏允さんなのか、他の誰なのかはわかりませんが。
このように、田﨑さんの解説から仮説を組み立てていくことで、政治の動きを精度高く読んでいくことが可能となります。
政策には関心薄か
田﨑さんは、自ら取材することで情報収集しているので、取材相手のネガティブな話題には触れたくない、とう面はあると思います。
嫌われて、取材がしづらくなる、会えなくなる、電話に出てもらえない、というリスクは気にしていると思います。
そういうスタンスがジャーナリストとしていかがなものか、と思う方も多いのではないでしょうか。
しかし、田﨑さんのジャーナリストとしての生命線は取材であり、取材をもとに『事実』を伝える事なので、その点は理解したいところです。
逆に言うと、田﨑さんは他のコメンテーターの方たちとは違い、主義主張やこだわりは余りないように思えます。
あまり関心がない、といった方が正確かもしれません。
ですので、外交や安全保障、経済など政策に関する専門的な議論はあまり得意ではないように思えます。
政策そのものへの造詣は深くはありませんが、何故その政策が出てきたのか、その背景には誰の影響力が関係しているのか、など、政策が決定されるまでのプロセスに関しては、異常なまでに詳しいです。
田﨑さんは、政策決定やその時々の政治判断が、権力闘争の結果としての妥協の産物である、という政治の本質をよく理解していると思います。
田崎さんの本職は『政局ジャーナリスト』
こうしてみていると、田﨑さんの本職は『政局』ジャーナリストであることが分かります。
ワイドショーの視聴者のニーズとしては、①政権に批判的なコメントを聞いて共感したい、スッキリしたい、②政治の裏側で起きている生々しい話を聞きたい、という二つのニーズがあると思います。
田﨑さんは、②のニーズに対応したジャーナリストといえます。
②のニーズでテレビ番組に出ているのは恐らく田﨑さん一人で、その他の方たちはいずれも①のニーズの代弁者、というイメージです。
②に関心がある人は、田﨑さんの話を聞くことで疑問が解消されたり、今後の政局を予想することが出来たりで、とても満足します。
田﨑さん自身も世の中の多くの人が、実は『政局』の方に関心があることも分かっています。
司馬遼太郎などの歴史小説を読むのが楽しいのと同じで、現在進行形で起きている政局の話題は、良し悪しはともかくとして、エンターテイメント的な要素が含まれています。
田﨑さんのことを政局解説の専門家と割り切って捉え、あるべき論を求めるようなことはせず、今起きているリアルな政治ドラマの解説を楽しめば良いのだと思います。
まとめ
これまで田﨑史郎さんについてみてきました。
・田﨑史郎さんは、自民党の有力議員への取材をベースに事実を伝えることを重視している
・各議員の行動、党や派閥の意思決定は権力闘争の産物であることを理解している
・一般国民、大衆は権力闘争の裏側の話に興味がある
・田﨑さんの話を聞くことで、政治の裏側を知ることができる
・それによって、政治の先行きについて精度高く予想することができる
・田﨑さんの解説は歴史小説を現在進行形で読んでいる感覚で楽しむことができる
今回は以上となります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
コメント